Garminフィットネストラッカーが希少疾患患者の睡眠問題の解明に貢献
ヘルステクノロジー企業のAparitoは、成人発症特発性頸部ジストニア(AOIFCD)患者を対象に、Garminのフィットネストラッカーを使用して睡眠の質を評価する新しい研究を行いました。AOIFCDは、睡眠に大きな影響を与える不随意的な頸部痙攣を特徴とする神経疾患です。AOIFCD患者の最大70%が睡眠に関連した課題を報告していることから、本研究では小規模な睡眠ポリグラフ検査に代わる、より利用しやすい検査を提供することを目的としました。研究者らは、睡眠構造を評価することにより、広く入手可能なフィットネストラッカーを用いたAOIFCD患者の睡眠パターンに関する貴重な洞察を得ることを試みました。
研究の参加者はGarmin vívosmart® 4フィットネストラッカーを使用し、そのデータはGarmin Health SDKを介してAparitoのアプリであるAtom5™に自動的にアップロードされました。これにより、生データを遠隔で収集することが可能となり、臨床での研究と比較して、参加者と臨床医にかかる時間とコストを削減することができました。
Garminで患者と分析者をつなぐ
この研究では、2つの群の参加者が対象とされました。1つはAOIFCDと診断された群、もう1つは年齢と性別が一致した対照群です。本研究の参加者は、Garmin vívosmart® 4フィットネストラッカーを7日間連続装着し、睡眠モニタリング、特に総睡眠時間とノンレム睡眠に費やした時間を記録しました。加速度計と心拍データ1がフィットネストラッカーを介して記録され、「Oxygen by Aparito」アプリに送信されました。
アプリのプラットフォーム内にGarmin Health SDKを統合することで、vívosmart® 4をアプリに直接接続し、加速度計の生データを収集できるようになりました。これによって、分析者が日中の眠気を特定したり、フィットネストラッカーで取得した健康指標をその後プラットフォーム内で処理することで、重要な生データを比較したりすることを可能にしました。その後、2つの群間でデータを比較し、アプリを通じて提出された患者報告アウトカム(PRO)によって、睡眠の質の違いを特定しました。
本研究の結果は、特に睡眠モニタリングが非運動症状の予防と管理に重要な可能性があり、臨床医が日常臨床評価の一環として睡眠障害をスクリーニングする必要性があることを強調しています。この研究では、通常のフィットネストラッカーがAOIFCD患者の睡眠パターンを推定するのに有用であることが示されました。彼らは、客観的な測定方法によって、AOIFCD患者が健常者と比較して異なる睡眠パターンを持つことを確認しました。これは、以前まで睡眠状況を患者に尋ねることで主観的に評価していたものです。AOIFCD患者は睡眠時間が長く、ノンレム睡眠の量が増加していました。こうした睡眠の変化は、特定の脳回路やセロトニン活性の問題と関連している可能性があり、ジストニアにおける運動と睡眠の両方の問題と関連している可能性があります。この研究は、消費者向けウェアラブルを用いて、客観的にこの効果を実証した最初の研究です。
更なる研究のためにGarminデバイスを適応させる
Aparitoは、Garminのフィットネストラッカーとその測定指標を利用した数多くのプロジェクトを計画しています。各研究の異なる要件に合わせて使用するGarminデバイスを選択できることが、AparitoがGarminを選ぶ際の鍵となりました。Garmin Health SDKの統合により、Atom5™プラットフォームはまさにこれを実現し、Aparitoは最も洞察に満ちた正確な結果を得るために、どの健康指標を取得するかをカスタマイズすることができます。
Aparitoは、11月9日から10日にかけてシンガポールで開催されるGarmin Health Summit 2023においてファイヤーサイドチャットを行う予定で、このイベントにはオンライン参加(視聴)することも可能です。
GarminとのAparitoプロジェクトの詳細については、こちらの遠隔患者モニタリングとオンコロジー臨床試験の機会に関する記事をお読みください。また、Garmin Healthとの連携による第三者研究の概要ページで、Garminデバイスを含むすべての研究を確認できます。
1 Garminデバイスは、自己診断又は医師への相談をはじめとする医学的な使用を意図するものではなく、疾病の治療、診断、予防を目的とした医療機器ではありません。測定精度に関する情報はこちらをご覧ください。