ウェアラブルのデータがパーキンソン病治療薬のウェアリング・オフ現象予測モデル確立に貢献
九州工業大学の柴田研究室(柴田智広教授)によって、パーキンソン病患者におけるウェアリング・オフ現象(薬の服用後、次の服用時までに薬の効果がなくなり、症状が発生する現象のこと)の研究が実施されました。研究者は、患者本人の症状の報告と、Garminのフィットネストラッカーvívosmart® 4から取得できる、ヘルスとアクティビティデータの相関関係を基に、予測モデルを確立することを目的としています1。Garmin Health API を活用することで、Garminデバイスで計測され、ユーザーの同意が得られたデータの分析をより簡単に実現できます。この研究には、いつの日かこの予測モデルがパーキンソン病のさらに効果的な治療薬や、医師の治療方法の開発を後押しすることを願う、研究者たちの熱い思いが込められています。
パーキンソン病治療薬のウェアリング・オフ現象
パーキンソン病患者は、個人に合った治療方法を必要とする、さまざまな症状を経験します。その一つが、パーキンソン病治療薬です。しかし、その治療薬の効果が薄れてくると、次の服薬のタイミングを待たずに症状が出てきてしまい、ウェアリング・オフ現象が起こるのです。長期間服薬を続けていると、その効果も弱くなり、患者本人の苦痛も増加してしまいます。このような症状の発生は、患者が医師に報告はしていますが、フィットネストラッカーを活用した患者モニタリングと予測モデルの活用で、医療関係者に洞察を提供することができ、カスタマイズされた治療プロセスを加速したり、改善できる可能性があります。
ウェアリング・オフ現象を予測する
この研究では、参加者はGarminのフィットネストラッカーvívosmart® 4を心拍数、歩数、ストレスレベル、睡眠といった生理学的指標を測定するために提供されました。Garmin デバイスは、洗練されたデザイン、軽量、バッテリ寿命の長さに加え、シャワーや水泳中も安心して使用できるという点で研究者によって選ばれ、参加者は取り外しの手間を心配することなく、デバイスをつけたまま日常生活を送ることができました。
vívosmart® 4から取得した生理学的データと、患者の自己申告による症状に関する情報を相互に照らし合わせることで、Garmin Health APIを活用しウェアリング・オフ現象の予測モデルの確立を可能にします。
今後のさらなる開発
この予知モデル開発のデモンストレーションに成功し、さらに多くの参加者を集め、それぞれの特性の違いについても研究を進めていきます。さらに、基礎モデルは参加者の早期警告システムとして使われ、そこから得られるフィードバックは、さらなるシステムの改善と症状に基づいた予測モデルの開発に反映される予定です。
Victorino JN, Shibata Y, Inoue S, Shibata T. Predicting Wearing-Off of Parkinson’s Disease Patients Using a Wrist-Worn Fitness Tracker and a Smartphone: A Case Study. Applied Sciences. 2021; 11(16):7354.
https://doi.org/10.3390/app11167354
Victorino JN, Shibata Y, Inoue S, Shibata T. Understanding Wearing-Off Symptoms in Parkinson’s Disease Patients using Wrist-Worn Fitness Tracker and a Smartphone. Procedia Computer Science. 2022; 196:684-691.
https://doi.org/10.1016/j.procs.2021.12.064
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1Garminデバイスは、自己診断又は医師への相談をはじめとする医学的な使用を意図するものではなく、疾病の治療、診断、予防を目的とした医療機器ではありません。